資金繰りには様々なリスクがあります。会社は資金繰り計画を立て、管理をしておかなければ、指定の支払い時に現金が不足し、支払いに間に合わなくなってしまうことも考えられます。最悪は、支払いが間に合わず黒字倒産なんてことも。
資金繰りが円滑に機能するために、適切に資金繰り計画を立てることが重要です。
資金繰りとは
資金繰りとは、資金の流れを管理することです。つまり、資金の収支を確認し、資金が不足したときはどのように確保するか、資金が滞留したときにどのように利用するかなど、お金の流れを把握し、過不足を調整することをいいます。
売上金の入金のタイミングと、仕入先などへの支払のタイミングをしっかり管理しておかなければ、資金がショートするだけでなく、取引先の資金もショートしてしまう可能性もあります。信用取引を継続していくためにも、資金繰りはしっかりと管理しましょう。
資金繰り悪化の主な原因
資金繰り悪化の主な原因としては次のとおりです。
- 売上減少
- 過剰在庫
- 資金回収遅れ
- トラブルなどによる急な支出
- 過剰投資
- 金利や為替変動
売上減少
売上額が減少すれば、収入が減ってしまうため、資金繰りは悪化します。また、赤字が続けば会社の資金を食いつぶしていくことになります。
銀行などから融資を受けることができれば経営は続けることができますが、売上が増加しなければいずれ資金は底をつきますし、融資が止まれば倒産のリスクが高くなります。
過剰在庫
在庫を抱えすぎると資金が滞留するため、資金繰りは悪化します。安いからといってまとめて仕入れたり、需要の予測を見誤ったために在庫が積みあがれば、支払だけが先行してしまい、資金が回らなくなってしまうことも考えられます。
資金回収遅れ
売掛金や手形により取引していると、入金のタイミングと仕入先への支払のタイミングが合わず、入金の前に支払いが発生することがあります。売上金を早期に回収しておかないと、取引先の指定期日に支払うことができず、資金不足に陥ることも考えられます。
大きな取引があったときは特に注意が必要です。いくら売上が大きくても入金日が遅ければ、仕入先に支払う資金が不足してしまいます。あらかじめ仕入先と交渉し支払日の変更の交渉をしたり、銀行へ融資交渉をするなどの対策をしておかないと、黒字倒産の可能性なんてことも。大きな取引なときこそ、資金繰りをしっかりと考慮する必要があります。
トラブルなどによる急な支出
取引先が倒産し売掛金の回収が困難になったり、設備の故障、従業員の急な退職など、予測できない支出により資金繰りが一時的に悪化することがあります。
過剰投資
会社の成長に投資は必要ですが、一時的に業績が好調だからといっていくらでも使えるわけではなく、計画的に行わなければ、資金繰りを圧迫することになりかねません。
金利や為替変動
国際取引を行っている場合は、為替レートが変動することにより、収入や支出が影響を受けるため、資金繰りが悪化することがあります。
資金繰り改善策
資金繰りが悪化すると、健全な経営を維持することが困難にになります。そうなる前に改善策を講じましょう。
改善方法としては、次のことが挙げられます。
- 資金繰り表の作成
- 売上増加、経費見直し
- 在庫整理
- 借入金返済方法や利率の交渉
- 取引先の与信管理
- 外部の専門家に相談
資金繰り表の作成
資金繰り表とは、将来の一定期間の現預金の収支をまとめた表のことで、資金の増減をシュミレーションすることができます。
1~3ヶ月程度の収支を予測できれば、現金が不足しそうなときでもあらかじめなんらかの対策ができるため、黒字倒産のリスクを減らすことができます。
また、短期的な資金繰りだけでなく、中長期的な資金繰り表があれば、設備投資のタイミングなど会社の成長に役立てることができます。
売上増加・経費見直し
売上が増加すれば現預金は増加しますが、経費が増加しては利益は出ず、現預金は減少してしまいます。売上だけがよくても、収支のバランスが崩れれば、資金繰りが悪化します。
仕入だけでなく、販売管理費についても継続してコスト管理をしていくことで、効率的に経営することができますし、資金繰りが安定します。
在庫整理
定期的に在庫を整理し、常に適正な在庫量を維持することで、不必要な出費を抑えます。需要の予測精度の向上も資金繰りに影響します。
借入金返済方法や利率の交渉
返済金額を変更するなど返済期限を遅らせることにより、一時的に資金繰りは改善されます。返済を遅らせている期間に経営改善策を講じて、資金繰り安定化を目指します。ただし、経営が改善しなければ、追加の融資は受けられないと考えた方がよいでしょう。
取引先の与信管理
取引先の与信調査を定期的に行うことで、未回収が発生するリスクを減らします。リスクのある取引先については、取引条件を変更するなどの対策を行うだけでなく、債権管理も徹底しましょう。
外部の専門家に相談
資金繰りを解決するために、専門家に相談するのも一つです。資金繰りの相談は、中小企業基盤整備機構や中小企業支援センターなどで無料ですることができます。
顧問税理士に依頼するのもよいでしょう。経営改善のノウハウがある税理士なら、より具体的な対策ができますし、金融機関との交渉もスムーズに進むかもしれません。
まとめ
資金繰りは一時的に改善するだけでは根本的な解決にはなりません。常に資金の流れを把握し、適切に対応することが、継続的な健全経営に繋がります。
適切に資金繰り管理をすることにより、競争力を向上させ、会社の成長を目指しましょう。